水と暮らす LIVE with WATER

ふく射熱パネル

室内設置例

建物全景

輻射冷暖房

輻射冷暖房は、空気を冷やしたり暖かくすることなしに、身体を冷やしたり暖めたりします。それは目に見えない遠赤外線による効果なのです。遠赤外線とは電磁波です。太陽光のように物体と相互作用の結果、熱が発生する現象なのです。到達した電磁波が、皮膚や皮下脂肪・水分に熱を伝達させるのです。これは、エアコンのような対流や伝導による冷暖房では不可能です。遠赤外線は電磁波です。その速度は30万km/秒。1秒間に地球7回り半です。この速度で、室内を駆け巡り、部屋の隅から隅まで等温空間にしてしまうのです。扉や壁で遮られた部屋を冷暖房することも可能なのです。そこが、エアコンと一番異なるところです。また、輻射冷暖房はエアコンと違い、直接、温風や冷風を出さないため、不快な風ではありません。さらに音もなく、臭いも出さない。冷暖房器のイメージを根本から変えています。

冷暖房の必要な地域では、熱源は現在のところもっとも効率的なヒートポンプを使います。空気熱源式ヒートポンプがもちろん普及していて使いやすいのですが、地熱や井戸水でも条件によっては選択することができます。室内の輻射熱発生体は、これまでは鉄に代表される金属ラジエーターでしたが、最近は金属よりも放射率が高く、腐食にも強いという特徴があるため、ポリプロピレン製のラジエターが注目されています。暮らしの場に最適な選択と組み合わせをしていくことが大切です。つまるところ適材適所ですね。

「エアコン」は、断熱性の高い空気に無理矢理に熱を伝え、その空気を人体に送り届け、さらに熱を無理矢理に伝えるという仕組になっています。かなり力任せの仕組みなのです。それだけ無駄なエネルギーを使っているのです。輻射冷暖房は、空気を動かす必要がなく、その空気は、もっとふさわしい断熱材としての役割をしてもらっています。保温保冷の役割が空気にはふさわしいのです。

風土と架構・世界の建築とクライモグラフ

東京・大阪のクライモグラフ

東京・大阪のクライモグラフ

パリ・ベルリンのクライモグラフ

パリ・ベルリンのクライモグラフ

相対湿度と気温の月平均値をグラフにしたクライモグラフから、歴然と理解できることがあります。それは、北欧と日本は気温と湿気が逆の組み合わせだということです。ヨーロッパを旅行していてこのように感じた方は多いと思います。それは、夏は日本に負けずに暑いのに、木陰に入るとスッと汗が引く。そして冬は気温が低いけれど意外に寒さが厳しくありません。その理由は、夏気温は高くても湿度が低く、冬気温が低いけれど湿度が高いことにあります。したがって、暖房しても空気が乾燥せず快適な温熱環境となります。
一方の日本は、夏湿気が高いので冷房するとさらに相対湿度は高くなり、湿気感が強くなります。
その結果、カビも生えやすくなります。

東京とベルリン、パリのグラフを見るとよくわかります。ベルリン、パリは左肩上がりです。ところが日本の都市は右肩上がりです。とくに太平洋岸にある東京については夏と冬の温湿度の差が大きいことがわかります。高温低湿・低温多湿の北欧では、夏に冷房をしても相対湿度が少し上がるくらいで快適域にあります。冬に暖房しても多湿なので相対湿度が下がり快適域になります。

ところが日本では、夏に冷房すると、もともと高い相対湿度がさらに高くなってしまい、湿気感が伴います。また冬ももともと乾燥しているため、空気温度を上げると高乾燥となり、鼻や喉の粘膜が乾き、肺に直接、風邪のウイルスが入りやすくなり、インフルエンザの流行を生み出しています。つまり、クリモグラフが右肩上がりの地域では、「空気で冷暖房をすることは健康な環境にならない」、あるいは「空気を使わずに輻射で冷暖房することが、健康な温湿度環境を実現する」ということになるのです。

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