水と空気と暮らすための学校

　車から出て塩湖を見回すと、空と空が向かい合う奇妙な地平線が360°広がっている。10000k㎡、約東京都5個分。大自然がおりなす絶景とその広大さに圧倒される。他のものは一切目に入らず、呆然と立ち尽くしていると風が止む。足元に感じていた薄い水の波立ちが消え、足元に目をやると自分は雲の上に立っている。風が止み湖が鮮明に空を映し出したのである。車に乗っている時に感じていた車のエンジン音はもうなかった。全ての音を水が吸い取っている。自分の息遣いだけが大きく聞こえ、さっきまで自分が乗っていた大きな車が鏡張りの空に囲まれて恐ろしいほど小さく見える。ウユニ塩湖の大きさ、静けさ、絶景に圧倒された。

　南米ボリビアの南西部に位置するこの塩砂漠は雨季の3ヶ月間のみ薄い水が溜まり巨大な湖となる。世界に鏡張りの名所は多くあるが唯一人を写し出す湖はここだけであり、この神秘的な景観から、この地は別名"天空の鏡"とも呼ばれている。